遺言書の活用

争族争いを防ぐ上手な遺言の残し方

日蓮は人生の目標に「死ぬ時に後悔しないこと」と言ったと言われています。相続争いを防ぐ唯一最大の方法が遺言ですが、その遺言がトラブルのもとになっては、泣くに泣けません。遺言の基礎知識と注意点、上手な作成のしかたを理解してください。

付言を入れた遺言書

遺言書の中の付言として財産を残す理由を書いておくと円満な相続につながります。真の会話は、死に別れた時から始まります、生きてる時は素直に言えないメッセージを付言としてのこしておきましょう。付言を入れた遺言書の事例をこちらでひとつ紹介いたします。ご参考にしてください。

公正証書遺言

遺言者は、次の通り遺言する。

  1. 大黒福子(昭和26年12月23日生れ)には次の財産を相続させる。
    • (1)土地
      所在:練馬区大泉学園町○丁目
      地番:367番1
      地目:宅地
      地積:240.00㎡
    • (2)建物
      所在:練馬区大泉学園町○丁目○○番地
      家屋番号:367番1
      種類:居宅
      構造:木造かわらぶき2階建
      床面積:1階125.00㎡、2階75.00㎡
    • (3)預貯金
      エビス銀行 幸町支店 口座番号1234567 遺言者名義の普通預金のすべて。元金、利息のほか、名義変更時または、解約、満期時までに生じる利息等も含む。
    • (4)遺言者大黒福太郎の所有する現金のすべて
  2. 大黒幸一郎 (昭和57年2月11日生れ)には次の財産を相続させる。
    • (1)土地
      所在:練馬区東大泉○丁目
      地番:716番8
      地目:宅地
      地積:200.00㎡
    • (2)建物
      所在:練馬区東大泉○丁目716番地8
      家屋番号:716番8
      種類:共同住宅(マンション)
      構造:鉄骨造陸屋根3階建
      床面積:1階140.00㎡、2階130.00㎡、3階130.00㎡
    • (3)預貯金
      エビス銀行 幸町支店 口座番号7654321 遺言者名義の定期預金のすべて。元金、利息のほか、名義変更時または、解約、満期時までに生じる利息等も含む。
  3. 大黒恵次郎(昭和62年3月12日生れ)には次の財産を相続させる。
    日の丸商事株式会社 株券1万株
  4. 上記に記載のない遺言者の所有する一切の財産は、妻・大黒福子に相続させる。
  5. 先祖の祭祀主宰者を、大黒幸一郎(昭和57年2月11日)と定め、大黒家の墳墓、系譜、祭具等、祭祀財産一式を承継し、先祖の菩提を弔い、その法要、祭事を執り行うものとする。
  6. この遺言の執行者として、東京都練馬区東大泉○丁目30番1号 藤内勇(昭和30年6月30日生れ)を指定する。

【付言】
母・大黒大姉、妻・福子、長男・幸一郎、次男・恵次郎へ

(母さんへ)
近頃心臓の具合が悪く、万一のことを考え遺言を作っておきます。万一のときは、十分な親孝行も出来ず先立つことをお許しください。父・母との生活は忘れがたく、とても幸せでした。これからの生活のことは、福子に頼んでおきますので、心配しないでください。今までどおり、福子とたのしく余生を楽しんでください。

(福子へ)
会社人間として一生懸命努力したが、たいした出世も出来ず、両親の世話・子育てをお前に押し付け、苦労をかけてしまった。母はお前を頼りにしているようだし、子供たちも立派に成人し、とても感謝している。最近、お前と二人で過ごした恋愛・新婚時代のことを良く思い出す。楽しかったことばかりだ。またお前に頼み事だが、母の介護をよろしく頼む。生活費が不足するようであれば、お前が受取人となっている私の生命保険金を当ててください。 お前に相続させる自宅の土地・建物は、私たち夫婦が築き上げたものだ。気兼ねなく、安心して母と共に住み続けてください。もし、お前の介護、又は施設に入所するために多額の費用が必要なときは、自宅を処分してその費用に当ててください。

(幸一郎へ)
お前のような息子を持つことを誇りに思う。お前が、技術屋として一生懸命仕事に打ち込む姿を見て頼もしく思い、時々、お前が私に話して聞かせてくれる自動車エンジンの話が楽しみであった。一生懸命仕事に打ち込むお前には重荷となるだろうが、次のことをお願いする。

  • 妻の養老、介護
  • 私の一切の債務を引き継ぐ
  • 独身用マンションのリフォーム・外装工事等維持管理
  • エビス銀行よりの借入金4000万円の保証人に妻・福子がなっているが、 福子を保証人から抜く。
  • 次男・恵次郎が大学院を卒業するまでその学費を負担する。

上記の重荷を背負うための資金、代償として独身用マンションとエビス銀行の定期預金を幸一郎に相続させている。 大黒家の家族をよろしく頼む。

(恵次郎へ)
お前は、兄・幸一郎の様に学業の才能には恵まれなかったようだが、そのハンデを努力で補おうとするお前を愛ほしく思っている。その気持ちを忘れずに、大切にしてほしい。これからのお前の成長を楽しみにしている。お前が大学院を卒業するまでのことは、幸一郎に頼んであるから安心して勉強に打ち込んでほしい。幸一郎にはいろいろ重荷を背負わせてしまったので、お前には少ししか遺産を残せないが、許してほしい。母・福子・幸一郎を支えてください、よろしく頼む。

平成20年12月1日

住 所 東京都練馬区大泉学園町○丁目○番○号
職 業 不動産賃貸業
遺言者 大黒 福太郎 (昭和20年12月1日生れ)

エンディングノートの提案(終活)

あなたは最期の迎え方を家族の方に伝えれてますか?意外と子どもは親のことを知らないものです。遺言書で付言として家族に想いを伝えることもできますが、それ以外の最期の迎え方や…介護のこと…葬儀の形式…連絡してほしい人…お墓のこと…通常の遺言では書ききれないことを伝えておきたい。大分財産コンサルではエンディングノートを活用した終活のサポートをしています。

※注)大分財産コンサルでは弁護士・司法書士・税理士・行政書士・土地家屋調査士・不動産鑑定士・社会保険労務士と提携して財産問題に取り組んでいます。