生前贈与の活用
~資産の世代間移転の節税対策~
贈与とその効果
生前贈与とは、自分が生きている間に自分の財産を人に与えること
贈与者 | 受贈者 |
---|---|
その効果は…
| 贈与と言うと通常ただでもらうこと。民法上は贈与契約。お互いに納得して成立するもの。どちらかが知らないと言うことはあり得ない。たとえば幼児に現金をあげると言っても貰った幼児は理解していないから贈与成立しない。 |
贈与税がかからない財産(上手に活用するコツ!)
- 扶養義務者からの生活費や教育費のための贈与財産
- 離婚に際しての財産分与
- 債務超過の場合の債務免除、債務肩代わり
- 学費や生活費の提供
生前贈与をする上での留意点
証拠や合意を忘れずに~贈与の注意点~
1.証拠を残す
2.あげる人、もらう人の合意が必要
3.もらった人が自由につかえる状態が必要
4.分割とみなされないように
その他
- 相続開始前3年以内の相続人への贈与は相続財産に加算
- 分散しすぎない(株・不動産)
- 未成年者の贈与(判断能力)
証拠と合意・使途事由がカギ
生前贈与には相続対策にとって大変効果のある方法ですが、あとで名義財産と言われないようにするためにも、財産移転の証拠(贈与契約書等)を残す。贈与財産の管理は受贈者が行うなどの注意が必要です。
生前贈与の種類と使い方
贈与税の課税方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあり、受贈者は贈与者ごとにそれぞれの課税方法を選択することができます。
1.歴年贈与の活用法
毎年、低税率の範囲で現金贈与
⇒ 例:110万円×(子・孫等)8人×10年=8,800万円を非課税で財産移転
⇒ 子どもに多額の現金を使わせたくない場合は…?
配偶者に居住用不動産の贈与
⇒ 婚姻期間20年超の場合、居住用不動産の贈与と、居住用不動産の取得資金を2,000万円まで贈与しても非課税
住宅取得資金の贈与
贈与年 | 省エネ性又は耐震性を満たす住宅 | 左記以外の住宅 |
---|---|---|
2015年1月~ | 1,500万円 | 1,000万円 |
2016年1月~ | 1,200万円 | 700万円 |
2016年10月~ | 3,000万円 | 2,500万円 |
2017年10月~ | 1,500万円 | 1,000万円 |
2018年10月~ | 1,200万円 | 700万円 |
結婚出産、育児資金の贈与
2015年1月~2019年3月末を期限に、1,000万円まで非課税。
※20~49歳の子や孫が対象。50歳になれば残額に贈与税がかかる。
※お金を出す親や祖父母が死亡すれば、残額に相続税がかかる。
教育資金(学校の入学金や授業料など)の贈与
2019年3月末までを期限に、1,500万円まで非課税。
2.相続時精算課税贈与の活用法
相続時精算課税贈与とは
2,500円までは非課税で贈与することが可能です。相続時にその贈与財産を含めて計算した相続税額から、すでに納めた贈与額を控除する制度です。
賃貸用不動産の建物のみ贈与
⇒ 賃貸物件の建物のみ子どもに贈与(借入がないのが前提)
⇒ 建物の評価額は低いので贈与しやすい。収入を子が貯蓄することができ、納税資金対策に
名義預金として判定される可能性の高い預貯金とは!
せっかく生前に贈与をして相続財産を減らそうとしたのに、調査で否認され相続財産にもどされる場合があります。相続財産の申告漏れが最も多いのが家族名義で運用している預貯金です。家族・親族名義の預貯金等を名義預金といいます。これらの預金は10年、20年前からこつこつ家族名義にしても時効がありませんので、すべて被相続人(死亡した人)の財産となります。
このようなことにならないためには、贈与は確実に証拠を残すことがポイントです。
- 父母又は贈与する人の銀行口座から贈与する金額を引き出し、もらう人の銀行口座へ毎年あげたいときに振り込む
- もらう人は自己名義の口座を作っておく(開設申込みは必ず本人又は親権者の自署押印によること)
- もらった人又はその親権者が通帳.印鑑.証書などを保管する。届出印鑑は必ず贈与者のものとは別にしておく
- 暦年贈与を選択している場合で贈与金額が110万円を超えるときは、必ず申告をして贈与税を納付する。
- もらった財産からの収入はもらった人のもの株式の配当金.国債の利子等
- とくに不動産等は贈与する際に贈与契約書を作成する。
以上のように贈与する人の手元に証書.印鑑等は保管せず、もらった人の手元におき、もらった人が自由に使えることが原則です。くれぐれも間違いの無いように。
※注)大分財産コンサルでは弁護士・司法書士・税理士・行政書士・土地家屋調査士・不動産鑑定士・社会保険労務士と提携して財産問題に取り組んでいます。